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高齢者の見守りについて

未来都市編集部425 views

健康領域ユニットは、「健康」をキーワードにさまざまな研究を行っているチームです。2019年2月19日、これまでの活動状況の振り返りや今後の展望をテーマに、ユニットメンバーによる座談会が開かれました。その様子を3回にわたってレポートします。
第2回目は、高齢者の見守りに関する施策についてです。

健康領域座談会の様子

左から久保教授、早坂教授、末繁講師、柴田教授

未来都市研究機構:健康領域ユニットメンバー
柴田 随道 教授(知識工学部)
早坂 信哉 教授(人間科学部)
久保 哲也 教授(共通教育部)
末繁 雄一 講師(都市生活学部)

早坂教授
私は元々は内科の医師ですが、現在は「生活習慣と健康」という視点で研究を進めています。特に専門的に行っているのは「入浴」や「温泉」の効能についての調査です。今年度はこのユニットに加わったばかりなのでそれほど活動していませんが、銭湯を中心に人が集える場所や施設で、高齢者の見守りに関する研究をしていきたいと思っています。

早坂 信哉 教授

早坂教授
銭湯の経営者はだいたい地元の名士で、銭湯は昔から人が集まる場所として機能してきましたが、今はその数が減ってきているのが懸念材料です。
高齢化が進み、独居老人が増えて、介護保険のように与えるタイプの福祉サービスやデイサービス、介護予防体操をやることを促すといったさまざまな取り組みがありますが、高齢男性は押し付けられることを嫌がる傾向にあります。何か自然な形で地域の方々に見守られるような方法はないのか…と考えたときに、銭湯などの温浴施設は理にかなった場所です。目的なくどこかに行くのは大変でも、「風呂に入る」という大義名分があれば男性でも外に出掛けるはず。このような見守りの場所は、むしろ都市部だからこそ必要かもしれません。

末繁講師
自由が丘にも銭湯はあるのでしょうか。

早坂教授
自由が丘にもありますよ。末繁先生は子育て世代を対象とした社会実験を行いましたが、実は自由が丘でも、見えづらいですが高齢化は進んでいます。若い人は外に出ていくので目立ちますが、一本路地に入ると古い民家があって高齢者が多い。そういう方々をどうやってフォローしていくのかが問題です。「スマートエイジング」をテーマに、お仕着せではない形で、高齢者をうまく見守れるような仕組みを見つけていきたいですね。
少し話が逸れますが、私が千葉大と行った調査では浴槽(湯船)に毎日入る方は入らない方と比べて要介護状態になりにくく、要介護リスクが3割ほど減るといった研究結果もあります。介護予防の視点からも、温浴施設を使うのはひとつの方法でしょう。

久保教授
柴田先生は、家の中での見守りも研究テーマにされていますが、家庭内で死亡率が高いのはお風呂場や脱衣所という話も聞きます。センシング技術が役立ちそうですね。

柴田教授
センシングによる見守りも、重要な研究テーマのひとつです。今学生たちと進めているのは、家の中でビーコンを利用して、どこにおじいちゃんやおばあちゃんがいるのか、それこそお風呂に入ってしばらく動かないな…など、まずは人の行動をセンシングで把握することを目標にしています。監視ではないですが、リアルタイムでデータを取れていれば、普段とは違う異常行動が見えてくるはずです。離れて住む家族をさりげなく見守ることができる。そんな家族のつながりや絆を、センシング技術によって築くことができればと思っています。

柴田 随道 教授

柴田教授
内閣府の調査によると、2015年(平成27年)現在、65歳以上の者がいる世帯のうち単独世帯は26.3%、夫婦のみの世帯は31.5%を占めていて、高齢世帯の多さが目につきます(参考『平成29年版高齢社会白書(全体版)』より)。また総世帯のうち世帯主が65歳以上の世帯が占める割合は、2015年の36.0%から2040年には44.2%と大きく増加することが推測されています(参考『日本の世帯数の将来推計(全国推計) 2018(平成30)年推計』)。
高齢化社会が進むことは明白な事実です。それに伴い、センサーネットワークによる家庭内や街中での見守りに対する需要は、きっと高まっていくでしょう。見守りのシステム構築や世の中に対する啓蒙活動にぜひ携わっていきたいです。

柴田 随道(シバタ ツグミチ)

所属:知識工学部 情報通信工学科
職名:教授
出身大学院:東京大学 修士 (工学系研究科) 1985年 修了
出身学校:東京大学 (工学部) 1983 年卒業
取得学位:博士(工学) 東京大学
研究分野:電子デバイス・電子機器
研究分野/キーワード:集積化システム工学、集積回路、信号処理、センサネットワーク

早坂 信哉(ハヤサカ シンヤ)

所属:人間科学部 児童学科
職名:教授
出身大学院:自治医科大学博士 (医学研究科) 2002年 修了
出身学校:自治医科大学 医学部 1993年 卒業
取得学位:博士(医学) 自治医科大学 2002年
研究分野:公衆衛生学・健康科学
研究分野/キーワード:医学、公衆衛生、疫学、小児保健、入浴医学、温泉医学、地域医療、地域保健

久保 哲也(クボ テツヤ)

所属:共通教育部 人文・社会科学系
職名:教授
出身大学院:筑波大学 修士 (体育研究科) 1997年 修了、昭和大学 博士 (医学研究科) 2012年 修了
出身学校:筑波大学 (体育専門学群) 1994年 卒業
取得学位:修士(体育学) 筑波大学 1997年、博士(医学) 昭和大学 2012年
研究分野:スポーツ科学、生理学一般
研究分野/キーワード:剣道、コーチ学、生理学

末繁 雄一(スエシゲ ユウイチ)

所属:都市生活学部 都市生活学科
職名:講師
出身大学院:熊本大学 博士 (自然科学研究科) 2007年 修了、熊本大学 修士 (自然科学研究科) 2002年 修了
出身学校:熊本大学 (工学部) 2000年 卒業
取得学位:博士(工学) 熊本大学 2007年
研究分野:都市計画・建築計画
研究分野/キーワード:都市計画、建築計画

ライター:未来都市編集部

東京都市大学 総合研究所 未来都市編集部です。未来の都市やまちづくりに興味・関心を持つ方に向けて、鋭意取材中!