MENU
MENU

都市のスマートエイジング研究をリードする東京都市大学

未来都市編集部7,037 views

世界中から多くの観光客が訪れる都市・東京。2020年にはオリンピックの開催も控え、「この先、東京はどんな都市へと変わっていくのか」と世界的にもますます注目が集まっています。
東京都市大学の副学長であり、総合研究所の元所長である丸泉琢也氏に、東京をはじめとする都市が抱えている課題と、東京都市大学で進められている「未来都市研究」についてお話を伺いました。

丸泉琢也

「東京の都市力はニューヨーク、ロンドンに続いて、世界第3位!」

東京という都市が世界でどのように見られているのか、みなさんは考えたことがありますか?森記念財団都市戦略研究所では『世界の都市総合力ランキング』を毎年、発表しているのですが、最新の発表では、東京は、ニューヨークとロンドンに続いて世界第3位と、非常に高い評価を得ています。ちなみに第4位はパリです。この調査では「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセス」という6つの分野から評価を行っていますが、このように高い評価を得ているというのは大変に誇らしいことです。

しかし一方で、日本は世界最速のペースで高齢化が進むトップランナーでもあります。「人」だけではなく「都市」も高齢化(エイジング)しているのです。建物や道路の老朽化、高齢者問題や保育問題などの社会制度など、あらゆるところにエイジングによる影響が現れてきています。「高齢化」という言葉はどことなくネガティブに感じるかもしれませんが、私たちはこれを危機ではなく、“持続可能な成熟都市”へと展開していくチャンスと捉えるべきだと考えています。
アンチエイジングではなく、スマートエイジング。成熟した未来都市を構築していくために必要な工学的技術と社会制度を総合的に研究する場が求められているという観点から、2016年7月、当大学の総合研究所内に「未来都市研究機構」を設立しました。

「学部横断的アプローチで、総合的な未来都市研究を推進」

「未来都市研究機構」は、「インフラ領域」「環境領域」「情報領域」「生活領域」「健康領域」の計5つの領域から成り、各領域に属するユニットで研究が行われています。なかには社会実装フェーズの段階に入っているものもあり、首都高速道路株式会社やトヨタ自動車株式会社との共同研究や、買物支援システムの試験的運用など、東京を中心とする首都圏を拠点に研究アプローチを進めています。各ユニットによる研究成果は、同様の課題を持つ多くの都市にも適用可能ですし、その波及効果が全国へと広がることを期待しています。

丸泉琢也

現在、当大学には工学部、知識工学部、環境学部、メディア情報学部、都市生活学部、人間科学部の6つの学部がありますが、「未来都市研究機構」の各ユニットは様々な学部の教員によってチームが構成され、それぞれで研究が進められています。都市の抱える1つの課題に対し、1つの学部によるアプローチでは対応しきれないという理由から、三木千壽学長とともに旗振り役となり、全学で研究を推進する体制を一から構築しました。大学における研究スタイルとしては、理系(工学技術系)・文系(社会制度系)を問わず学部横断で行っているところはまだ少なく、当大学特有のカタチかと思われます。

「エイジングシティ研究の成果を、フロンティアとして発信」

2017年11月、当大学は文部科学省の「平成29年度 私立大学研究ブランディング事業」の支援対象校に採択されました。事業名は「都市研究の都市大: 魅力ある未来都市創生に貢献するエイジングシティ研究および実用化の国際フロンティア」。私立大学研究ブランディング事業は、学長のリーダーシップの下、大学の特色ある研究を基軸として、全学的な独自色を大きく打ち出す取組を行う私立大学・私立短期大学に対し、経常費・設備費・施設費を一体として重点的に支援するというもので、平成28年度からスタートしました。平成29年度には188校からの応募があり、全国で60校が選ばれています。

現在、日本は高齢化のトップランナーですが、韓国、インドネシア、シンガポール、中国といったアジア諸国も急速に高齢化が進んでおり、日本のすぐ後に続いてきています。日本がいかにしてエイジングによる課題をクリアし、魅力的な都市として発展していくかは、こうした国々にとっても非常に大きな意味を持つと思います。

当大学ではこれまでも「未来都市研究機構」において、「持続可能で魅力的な成熟都市の形成を目的とした研究」を行ってきましたが、この「平成29年度 私立大学研究ブランディング事業」の採択をきっかけに、今後ますます積極的にエイジングシティ研究とその成果を国内外に広く発信し、国際社会にも寄与していく考えです。

丸泉 琢也(マルイズミ タクヤ)

所属:東京都市大学
職名:副学長
出身大学院:東京大学 博士 (工学系研究科) 1980年 修了
出身学校:東京大学 (工学部) 1975年 卒業
取得学位:工学博士 東京大学
研究分野:応用物性・結晶工学
薄膜・表面界面物性
電子・電気材料工学
電子デバイス・電子機器
研究分野/キーワード:材料シミュレーション、デバイスシミュレーション
研究テーマ/キーワード
1「シリコン半導体材料・デバイス シミュレーション」/シミュレーション、第一原理計算、シリコン、材料、デバイス

ライター:未来都市編集部

東京都市大学 総合研究所 未来都市編集部です。未来の都市やまちづくりに興味・関心を持つ方に向けて、鋭意取材中!