MENU
MENU

Society 5.0を実現する未来都市におけるライフスタイルの変化

未来都市編集部2,260 views

日本社会において進む高齢化や人口減少により、近い将来、都市には様々な問題が発生すると想定されています。また一方ではICTの急速な進化によって、私たちの生活は、かつてないほどの大きな変化を遂げつつあります。

都市生活は今後どのように変わっていくのか、「未来都市におけるライフスタイル」をテーマに、未来都市研究機構で生活領域の研究をしている3人の先生方が座談会を開催。その内容を3回に分けてご紹介します。

第3回では、昨今注目を集める「SDGs」とライフスタイルの関係、経団連が提唱する「Society 5.0」をふまえて、企業がおさえておくべき未来都市のライフスタイルの変化について、お話を伺います。

生活領域担当教諭

東京都市大学:対談プロフェッショナル
<ファシリテーター>
北見幸一 准教授(都市生活学部)
<コメンテーター>
西山敏樹 准教授(都市生活学部)
橋本倫明 講師(都市生活学部)

SDGsの達成にむけた、評価の枠組み構築は大学の役目

北見准教授
政府は2018年6月に、国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」を地方にも広めようと、優れた取り組みを提案した29自治体を「SDGs未来都市」に制定し、さらにモデルとなる10自治体も制定、具体的な取り組みがスタートしています。
これまで日本は環境的な側面に力を入れて取り組んできましたが、SDGsには環境、社会、経済の3つの側面に関する17の大きな目標が設定されていて、自治体も試行錯誤しているように思えます。

SDGs

西山准教授
SDGsでは17の「くくり」の下に169のターゲットが決められているじゃないですか。これらをすべてやろうと思ったら無理ですよ。都市ごとにそれぞれの形のSDGsがあるはず。その都市なりの課題をきちんと捉えて、優先順位をつけることが必要となってきます。優先順位づけのためには評価が大事ですが、評価の枠組みがないのが現状です。これは大学の役目かもしれないですね。

西山 敏樹

北見准教授
どの自治体の人も話していたのは、市民やステークホルダーが自分事として考えることができなければ、いくら自治体が「SDGsを実現して、いい街をつくりましょうね」と言っても目標は達成できないということでした。市民の意識を変えるのは、やはり教育の役割でしょうか。

西山准教授
最近、中国ではゴミ捨ての分別がうまくできるとスマホでポイントがつくといいます。でもこれってポイント目当てだから自分事になっているかどうかは怪しいですよね。北見先生のおっしゃるとおり、これは啓蒙や教育の話です。しかし日本がこうした教育を行っているかといえば、まだまだこれからです。

北見准教授
教育の場で、どう自分事するかを引き出して、ひとりひとりが自発的にライフスタイルを変えていくようにしないと、根本的には何も変わりませんね。

この変化をビジネスチャンスだと認識して、そこに投資できるかが問われる

北見准教授
一方、経団連が提唱する「Society 5.0」ですが、これによって生じるライフスタイルの変化と企業がおさえておくべきポイントを教えてください。

橋本講師
Society 5.0で言われているのは、デジタルと多様性の組み合わせです。IoTでいろいろなものからデータが得られますが、企業にとってはまず「どうやって取るのか」「どういう装置で取るのか」というところにビジネスチャンスがあり、さらに取ったデータをどう活用するのかが、創造性を発揮する勝負所かと思います。

橋本 倫明

西山准教授
ビッグデータをサービスの向上に還元するのが企業の取り組むべきことでしょう。ただ、データを見て、分析する力のある人が少ないのが問題です。ある程度国策でデータサイエンティストを育成し、企業が自分たちに合う人を雇用する。国を強くしていくためには、そういう方法も必要だと感じています。

北見准教授
課題解決のために、取ったデータをどうリアルにつなげていくか。そして、この変化をビジネスチャンスだと認識してそこに投資できるか、ということですね。

仕事があれば人が集まる。そうした循環をつくっていかなければならない。

西山准教授
またSociety 5.0では、「大企業による『出島』」という言葉があり、自由なイノベーションのために会社から離れてスピンアウトしてもいいと言っていますが、ライフスタイルの変化で空いた時間をローカルビジネスに活用できたら、おもしろい展開がありそうですよね。「地域の経済的格差を埋めるためにSDGsを」と言うよりも、こちらの方がずっといいです。

北見准教授
補助金は一時的なものに過ぎないけれど、仕事があれば人が集まる。そうした循環をつくっていかなければならない。

北見幸一

西山准教授
そう、絶え間なく続く仕組みづくりが大事です。CSR(企業の社会的責任)として、企業がこの問題をどう捉えていくかなのですが。

北見准教授
「社会貢献だから、仕方なくやる」という気持ちではうまく機能しないから、いずれ回り回って自分たちの得になると思って、こうした課題に取り組んでほしいですね。

北見 幸一(キタミ コウイチ)

所属:都市生活学部 都市生活学科
職名:准教授
出身大学院:立教大学 博士 (経済学研究科) 2009年 修了
取得学位:博士(経営学) 立教大学 2009年
研究分野:経営学
研究分野/キーワード:経営学、 マーケティング、ブランド戦略、広報戦略

西山 敏樹(ニシヤマ トシキ)

所属:都市生活学部 都市生活学科
職名:准教授
出身大学院:慶應義塾大学 修士 (政策・メディア研究科) 2000年 修了 / 慶應義塾大学 博士 (政策・メディア研究科) 2003年 修了
出身学校:慶應義塾大学 (総合政策学部) 1998年 卒業
取得学位:博士(政策・メディア) 慶應義塾大学 2003 年
研究分野:社会システム工学・安全システム
研究分野/キーワード:ユニバーサルデザイン、福祉のまちづくり、都市交通、モビリティ論、社会調査法

橋本 倫明(ハシモト ノリアキ)

所属:都市生活学部 都市生活学科
職名:講師
出身大学院:慶應義塾大学 博士 (商学研究科) 2014年 単位取得満期退学
出身学校:慶應義塾大学 (商学部) 2009年 卒業
取得学位:博士(商学) 慶應義塾大学 2016年
研究分野/キーワード:経営学、組織の経済学

ライター:未来都市編集部

東京都市大学 総合研究所 未来都市編集部です。未来の都市やまちづくりに興味・関心を持つ方に向けて、鋭意取材中!